2882日目　ファイトケミカルと生命の防衛戦略

ファイトケミカル（phytochemical）とは、ギリシャ語の 「phyto（植物）」 と 「chemical（化学）」 を組み合わせた言葉で、「植物由来の化学成分」を意味します。

「ファイト（fight）」は英語で「戦う」 という意味も持ちます。実際に植物は、自ら動くことができないため、紫外線や害虫、微生物などの外敵から身を守るために、色素・香り・苦味・渋み などのファイトケミカルを生み出し、生存戦略を築いています。

植物色素は、紫外線からの防御シールド

紫外線には、物質を風化・劣化・破壊 する力があります。しかし、植物は紫外線のダメージに対抗するために、植物色素（カロテノイド・フラボノイドなど）を合成し、身を守る という仕組みを持っています。
この「戦う力」を人間が摂取することで、私たちの細胞や臓器を守る働きをしてくれるのです。

植物色素(カロテノイド）とヒトの健康——「守る力」を受け継ぐ

例えば、目の黄斑部 は 黄色色素ルテイン で保護されています。これは、紫外線やブルーライトによるダメージを防ぐためです。

さらに、新生児が最初に口にする 「初乳」 が黄色いのも、ルテインを含んでいるため。母乳を通して、赤ちゃんの未発達な目や脳を守る役割を果たしているのです。

ルテインの多面的なプロテクト作用

最新の植物科学では、ルテインが目だけでなく、以下のような臓器にも重要なプロテクト作用 を持つことが明らかになっています。
• 目（黄斑部）：ブルーライトや酸化ストレスからの保護
• 脳：認知機能の維持、神経細胞の保護
• 肌：紫外線ダメージからの防御、シミ・シワ予防
• 乳房・子宮：ホルモンバランスの調整、細胞の健康維持
• 大腸：腸内環境の改善、炎症抑制

ファイトケミカルは「新時代の植物科学」

毎日の食生活に意識的に取り入れることで、私たちの健康をより強く守ることができます。ファイトケミカルは、植物からの贈り物であり、未来の健康を支える鍵なのです。